Nikonユーザーとして長年カメラを愛用してきた私が、ついに初めて手にしたペンタックス製品。それが「smc PENTAX-DA 35mmF2.4AL」です。普段の撮影スタイルや感覚が、ペンタックスのレンズでどう変わるのか興味津々!
※2024年11月20日 軸上色収差について追加しました。
2024年11月18日作例を追加しました。
今回は、ファーストインプレッションとして、開封した瞬間の感想や実際に撮影した作例、そして初心者目線で感じた使い勝手についてお届けします。ペンタックスのレンズに興味を持っている方や、他メーカーのユーザー視点からのレビューを求めている方にとって参考になれば幸いです。
noteではブログとは全く違った形でカメラの話題を発信しています。noteでも同じ写真を使ってまた、別のものを書くかもしれません。その際はぜひ読んでください。

開封の儀|smc PENTAX-DA 35mmF2.4ALの第一印象
初めてのペンタックスKマウント、Nikonユーザーの私にとって初めて他社マウントでちょっと緊張します。想像以上に箱が軽くてびっくりです。ほんとに入ってるよね?と思いつつ開封。


ペンタックスを応援するのも兼ねて新品を購入するつもりでした。ただ今回は、他の商品も複数追加で買うことになったので中古で購入しました。みんなの防湿庫でおなじみのMap Cameraで良品を購入しました。

今まで何本もレンズを買ってきましたが、こんなに説明書書いてあったかな。あったのかもしれませんが、しっかり見たら名前や勉強になったりしていいですね。

こんなに小さいのか!と叫ぶくらい軽くて声が出ました。いつもながらMap Cameraの梱包は素晴らしいです。

Nikonの単焦点レンズでフルサイズ用「AI AF Nikkor 35mm f/2D」を持っていますが、それに比べてもかなり軽いです。smc PENTAX-DA 35mmF2.4ALはDAレンズなのでAPS-C専用レンズです。明らかに軽くて一回り小さい鏡筒をしています。持ったときにドキリとする軽さです。


本来のレンズキャップはペンタックス PENTAX レンズキャップ O-LC49 だと思いますが、購入品は前オーナーが違うものにし売却したようです。

困ることはないですが、このフロントレンズキャップは使いにくいです。高いものではないので、前後キャップとも現行品を買ったほうが良いかなと思いました。
フード径は49mm、Map Cameraのオリジナル保護フィルターを後で装着します。いつもながらMap Cameraの良品クラスは本当に綺麗です。信頼性も抜群。
カメラやレンズはMap Cameraとキタムラはまず間違いないですね。良品(キタムラならAB品)クラスは個人的に新品と大差ないです。

プラスチックマウントですが、全く問題なし。軽さが正義です。ASSEMBLED IN VIETNAMとありますので、ベトナムで組み上げられたわけですね。ありがとうございます。

フォーカスリングで伸び縮みしますが、これがもっとも縮んだ状態です。

少しだけ伸びてきますが、実用上何もかわりません。ニュッと伸びます。
写真でいろいろ見ましたし、動画でもたくさん見ました。それよりは実物は想像より良かったです。結構質感良いなと最初に思ったくらいなので、格安単焦点としてみるとかなり頑張ってると感じました。
先ほど例に出したAI AF Nikkor 35mm f/2Dと比較すると、流石に重量感からして違います。価格は2倍強になるのでそこは仕方ない部分です。とはいえ路線が違うのがいいですよ。
AI AF Nikkor 35mm f/2Dは重機のようにゴツゴツ重みもある感じ、smc PENTAX-DA 35mmF2.4ALの方はサラッとしたスマートな感じです。
中指と親指で摘むように持っているのですが、81g差は凄まじく大きい。それくらいに小さくて軽いです。

smc PENTAX DA のロゴ。個人的に非常にかっこいいと思う部分。あと、緑が好きなのでそこも嬉しいんですよね。非常に個人的で申し訳ないのですが。
この部分の写真を穴のあくほど見たんですが、「ちょっと安っぽいな、カッコ悪いな」と思ってみていました。
ところが、実物はなんかいいですよ、いい。なにこれかっこいい!です。決して高級感があるわけではないけれど、シュッとしてるのがいいです。値段の割に、いいです。


新品でもこの価格ですからね!手軽に高画質を求めるならアリアリのアリ!
諸元と特徴|PENTAX-DA 35mmF2.4AL の基本スペック


スペックもやはりチェックしておきましょう。開放絞りがF2.4と明るくも追いすぎないことで、小型軽量なだけでなくお求めやすい価格設定の標準レンズです。
PENTAX-DA 35mmF2.4AL の基本スペック
項目 | スペック |
---|---|
焦点距離 | 35mm(35mm判換算 約53.5mm) |
開放絞り値 | F2.4 |
最小絞り値 | F22 |
レンズ構成 | 5群6枚 |
最短撮影距離 | 0.3m |
最大撮影倍率 | 0.17倍 |
フィルター径 | 49mm |
サイズ | 約63mm × 45mm(最大径 × 長さ) |
重量 | 約124g |
K-3のボディに付けたときのワーキングディスタンスは約20cm程度です。35mm判換算53.5mmと標準レンズとして機能します。テーブルフォトもこなしつつ、超軽量な明るい単焦点レンズで見たままを切り取ります。
フードやケースは付属しないので、必要な人は別途用意しましょう。


また、兄弟レンズとして50mmもありこちらはさらに安くなっています。


特徴的なポイント


上に書いた部分以外で特徴的なポイントをいくつか見てみましょう。
smc(Super Multi Coating)コーティング
- レンズ表面に施されたsmcコーティングが、フレアやゴーストを低減。
- 特に逆光下でもコントラストを維持し、透明感のある画像を実現。
- ペンタックス独自のコーティング技術で、色再現性の高さも特徴。
最新のHDコーティングは更に上を行く超高品質レンズですが、こちらは一世代前と言うイメージでいいと思います。とはいえ、オールドレンズと比べればしっかりとした現代レンズです。
AL(非球面)レンズの採用
- 非球面レンズ(Aspherical Lens)により、球面収差や歪曲収差を効果的に抑制。
- これにより、画面全体でシャープな描写が得られるため、風景や建築物の撮影に適しています。



安くてもちゃんとおさえてますね!
実際に使ってみた感想|DA 35mmF2.4AL のファーストインプレッション


ここからは実際にsmc PENTAX-DA 35mmF2.4ALを使用してみた、正真正銘のファーストインプレッションをお伝えします。
レンズをカメラに装着したときの操作感、バランス感
写真の通りレンズを右手に見て赤い指標を合わせ、奥側に捻って装着します。NikonのZ及びFマウントとは逆なんですね。ペンタックスKマウントの取り外しボタンもボディーのグリップ側下部にあることから、Nikonとは色々違う部分が多いです。


ボディに装着したときの見た目は、レンズがとても小さいなと感じます。緑のリングが映えるので、緑好きな私としては一気にテンションが上がるポイントです。
K-3はボディ+バッテリーとSDカード1枚でちょうど800gです。なのでレンズは添える程度で、ボディを支えている感覚で構える感じになります。収まりはよく、指掛かりもいいです。
ボディを持つとレンズもついている程度の感覚なので、軽量なこのシステムは手首の負担もなく振り回せるのがポイントだと感じました。
使いやすさや絞り値の動作感について


ローレット部分はすべらず引っかかりもいいので、MF時のピントリング操作に支障はありません。とはいえ、通常はボディ側で操作するためほぼ使うことはないでしょう。上に控えめながらいい感じのフォントで見えるsmc PENTAX-DA 1:2.4 35mm ALがいい感じです。
フォーカスレバーをMFにしたときのピントリングは、仕方ないけれどスッカスカ。この辺は価格ですね。あまりに軽い輪っかを動かしているだけです。粘りやトルク感は皆無ですが、不用意に動くこともありませんので動作に問題はありません。
撮影時のピント合わせやフォーカス速度など
明るいレンズのため、ボディのファインダーに依存するものの見やすくてフォーカスしやすいです。AF自体はボディAFなのでカメラボディに依存します。ギュインギュインいうタイプで想像よりもフォーカススピードは高速でした。
このスピード感覚は人によって随分変わってくるのでご了承ください。自分で使っていて遅いとは思いませんでした。
一方で動画用にこのレンズを考えるならオススメできません。それくらいしっかりとした大きな「ギュインギュイン」音が出ます。AF作動時の音があまりに大きく、使用に耐えないからです。あくまでもスチル機として考えると、何も問題がないといえるでしょう。
開放2.4スタートだが、絞りと画質の変化はどうか
smc PENTAX-DA 35mmF2.4ALで各絞り値による画質の変化を見てみましょう。絞り以外の各設定は以下です。
ピントは「POM」の文字に合わせていますので参考にしてください。


最も解像感のあると感じたF8まで、引きと拡大画像を一緒に確認していきましょう。
開放 F2.4




ピント面も甘く、クリア感は少ない。極めて弱めのソフトフォーカスと考えれば、面白い使い方ができそうです。
F2.8




芯が立ち始めるけれど、まだまだ霞がかっています。色が出始めたような感じです。2,4と2,8の使い分けは曖昧ながらもソフトさの強弱で考えてもいいかなと感じます。
F3.5




色が出始めて一気に立ち上がりを視認できる絵に変化します。F3.5からぼやけ感よりはクリア感のほうが前に出てきます。被写体との関係性でクリアさをここから使用するのもありでしょう。
F4




F4から使えるシャキッと感です。色が起き上がってきて十分にシャープさが出ています。一方で適度に柔らかも持っているので、しっかりキレイでバランスの良い解像感でしょう。オールマイティなバランスのいい描写と思います。
シルバーと黒の均一さもここから一気に潤沢になる印象です。
F5.6




細部も表現したいならF4以上から、F5.6では更に解像側に重きをおいた見え方に変化します。
F8




F8まで来るとパキパキに解像力を発揮します。とはいえ、カリカリしないのがポイント。引きの画像でもF5.6と比べれば全く違うシャープさを見せます。
細部まで見せたいときや景色を写すのには、定番ですがF8はこれほど違うんだなと再認識しました。また、開放が明るいことによって、ある程度絞ってもそこそこシャッタスピードを得ることが出来るのは嬉しいです。


作例で見る smc PENTAX-DA 35mmF2.4AL の魅力
正真正銘のファーストインプレッションです。単体商品レビューを書くのに家の外で急遽撮影した、私にとっても初の見た感じの感想を生でお伝えします。RAWも試したかったのですがCD-ROMドライブを持っておらず現像ソフトがありません。作例は全てJPEGとなっています。
雨が振り始めたので、作例は僅かで試せたことも少ないです。一方で、少ないなりに感じた部分を各写真ごとにコメントしてみます。公開時はほぼ開放ばかりになっていますが、機会を見て絞った写真を後日追加していきます。腕がないのはお許し願うとして、参考になれば嬉しいです!
作例1


すぐに雨が降り出しそうな夕方近く。部屋着のまま誰もいない外に出て、手軽に撮影できるジクサー250のタンクをアップにしました。曇天日陰ならではの落ちたブルーと艶っぽさが自然に見えます。APS-CとはいえF2.8もあればしっかりボケますし、極端さがないので初めてでもわかりやすい優しさがありました。
一眼レフで初めてのK-3だったので、露出の癖もわかりません。まずは標準露出で様子見のスタート。カメラ側に任せっきりでレンズの雰囲気だけを掴みたいと思いました。カスタム設定はNEUTRALにして、フラットなPENTAXが提案するフラットな標準設定のようです。
作例2


カリカリにしたくなかったので、開放絞りで撮影。小さめに縮小されるのですがそれでも何となく伝わると嬉しいです。PCの画面で確認したときに、「おお!」と声がでました。この価格でもこれだけしっかりした絵を出してくるのかと。HDレンズやlimitedはいったいどうなるんだと思うほどです。
画質設定がNEUTRALなこともあってトーン重視です。それでも嫌味のない優しい手前のボケがこういった被写体ではありがたい。少し苔の生えかかった汚れた管が、降り出しそうな雨の湿度を先取りしている用に見えます。この二枚目のショットを家で確認したときに、これは想像よりもかなり良かったなと一安心しました。
作例3


曇天NEUTRALで1/15。止まるんですよね、これは素直にK-3の恩恵です。因みにこれくらいのシャッタースピードになると、身体の前後揺れの方をより気をつけたほうがいいです。開放で撮影していますが、ボケはやや賑やかです。小さい葉っぱなので余計に感じる構図かもしれません。
PENTAXの緑と青は有名ですが、これが初めて撮影した植物です。ちょっとわかる気がしますが、曇天であることは留意しないといけません。いささか青みが強い気がしますが、これはレンズと言うよりボディの影響です。感度を上げていて開放に関わらずシャッタースピードは1/15、ということでお気づきの方もいると思いますが、かなり暗くなりかけています。明るいレンズで助けてもらったいい例ですね。
作例4


別角度からカスタムイメージをMIYABI(雅)に。サイドの高い「鮮やか」をベースにマゼンタに振ったものらしいです。各カスタムイメージは個別の調整幅と箇所を持っていますが、全て初期設定です。比較的レンズ的には曲が少ないフラットさを感じました。初めて手に取る人にとって、全てが優しい印象です。
F2.4はソフトフォーカスがかったと書きましたが、まさにそんな柔らかい描写になります。
作例5


MIYABIと開放の組み合わせは、難を隠して印象を優先するかもしれません。たくさん撮影していないので、それはこれからですが、もともと鮮やか系(ビビットなど)の色味やプリセットは好みではありません。Nikonの35mm F2Dはこってりとした色合いが特徴的でしたが、それに比べてsmc PENTAX-DA 35mmF2.4ALは従順さを感じます。
許容度合いが広くて強烈すぎる個性を持っていない、それこそがこのレンズの個性なのかもしれませんね。この初めての印象が今後どう変わっていくかも含めて記録に残しておきます。それにしても、特徴のある緑ですね。RAWで撮ってみたい衝動に駆られます。
作例6


感度を統一しておきたかったので開放にしていますが、絞りたかったのが本音です。少しあまいのですが止まっているのは流石だなあとボディに対して感心しきり。レンズは以上に軽いのですが、ボディの重さが無意味な揺れを抑えてくれます。また、このレンズ自体の軽さは手首を向けるときの機敏さにも即応可能です。データ量ではない実際の撮影プロセスにおける、「ハンドリングの軽さ」を屋外では特に実感するでしょう。
作例7


到着日翌日に少しだけ撮影したので、ほやほやの作例をいくつか追加します。曇天夕方で山の中なので、かなりくらい場面。F5.6で標準露出では明るくなりすぎたので、露出を-1.0にしています。やはりここまで絞ると葉っぱの端から葉脈までちゃんと移してくれる安心感が出ます。被写体によっては画面の隅は気になるでしょうが、こういう植物スナップ?山スナップ?では気になりにくい側面があります。
作例8


この小さな画像ではわかりにくいですが、格子模様のカーテンがしっかり改造しています。F8まで絞れば安心の解像感、単焦点ならではの絵の力を味わえます。硬調軟調はカメラ側設定でかなり変わりますが、癖のないユーザーに馴染みやすい描写が特徴です。


畳を意図してぼかすかどうか、斜めに撮影してもF8.0ならここまで見えます。換算53.5mmは自分が目で見ている感じをそのまま抜き取る事ができるので、この安価なレンズでここまで写し取ってくれるならうれしいです。次の一本を考えたくなる気持ちもわかります。HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WRやHD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limitedなど、味わってみたくなるんでしょうね。



それではあたらいい作例がでるまで現時点でのNikonニューザーからの視点もお伝えしましょう。
Nikon ユーザーからペンタックスレンズ|新しい世界の扉を開く


Nikon ユーザーとして似た画角を持つレンズAI AF Nikkor 35mm f/2Dを引き合いに出してみましたが、敢えて比べたデメリットとメリットを書いてみます。
・最後のフリンジっぽいと書いてある部分はおおよそその感じということです。
一方で明確に感じたメリットはその裏返しです。




フォーカス面を見てもわかるので間違いないと思いますが、軸上色収差によるフリンジだと思います。波長的にパープルフリンジは前ボケで、グリーンフリンジは後ろボケでますので、木の枝のボケ方を見てもこの偽色は軸上色収差だと思います。
条件の悪い被写体だったのでF4でも出たわけですが、F8では一切でなかったことから、こういったとりあえず撮ってみた枝などは絞っておくのがベターなのかなと感じます。
価格におけるメリットが全てを底上げしてくれるのはありますが、この価格でこの品質を提供してくれるのはさすがPENTAX。Nikonもそうですが、安価な単焦点はそのマウントの入口です。今回は広角の35mmにしましたが、他メーカーに比べてもう一つ安い価格設定も嬉しい部分です。
一眼レフを続けます宣言をしたからこそ、興味が出たのですがその一端を垣間見ることができました。
Nikonユーザーから見るとかなりの違いがある移植メーカーがPENTAX。レンズラインナップは少なく、ミラーレスもやっていません。ところが、細かく見ていくと個性の塊なんですね。考え方や方向性がまるで違うのがとても面白いです。掘り下げた話は、noteにより深く書いてみようと思います。



いいじゃん!PENTAX!
まとめ|smc PENTAX-DA 35mmF2.4AL は初心者にもおすすめ?
「smc PENTAX-DA 35mmF2.4AL」は、その軽さと扱いやすさで、初心者や初めての単焦点レンズとして最適な選択肢です。特に軽量コンパクトな設計とクセの少ない描写は、日常使いにぴったり。ポートレートからスナップまで幅広く活躍してくれるでしょう。
単焦点はズームが聞かないので自分で動いて範囲を調整する、撮影の基本も学べます。おすすめですよ♪
価格以上のパフォーマンスを持ち、初めてペンタックス製品に触れる方にもその良さを実感できる一本。次の撮影が楽しみになる、そんな気持ちにさせてくれるレンズです。